6/10/2023 さつき会 さつき会アメリカ合同イベント『日米現地事情生トーク: 現場から見た日米メンタルヘルスケア事情』開催報告
毎年さつき会とさつき会アメリカ合同で開催している日米現地事情生トーク 、今回はメンタルヘルスケアをテーマに、日米でメンタルヘルスケアの現場におられる3人の専門家をプレゼンターとしてお迎えして開催しました。
日本と米国のメンタルケアの現状や特徴について、プレゼンテーターの方々から話題提供をして頂いた後、全体での質疑応答及びグループに分かれての意見交換で、さつき会ならではの活発な意見交換が行われました。現役学生や海外からの参加を含めて総勢56名にご出席いただき、イベントは大盛況のうちに幕を閉じました。
【開催日程】
2023年6月10日(土) 10:00~12:00(日本時間)オンライン開催
【概要】
3名のプレゼンターの方に各15分ずつのプレゼンテーションをしていただき、事前によせられていた質問に対する応答も含めた意見交換を行いました。その後、1回のブレークアウトセッションを設け、プレゼンテーターにも参加していただいて4グループに分かれ20分間の意見交換を行いました。
―プレゼンター―
田中靖子さん:2006経済学部卒。2009年にロースクール修了、司法試験に合格。2021年、在ヒューストン日本国総領事館との提携により、在米邦人向けの電話相談の窓口AADA(Asians Against Domestic Abuse)を立ち上げる。
内田舞さん:2007年北大医学部卒、2011年Yale大学精神科研修修了、2013年Harvard大学Massachusetts総合病院小児精神科研修修了。Harvard大学医学部准教授。共著「天才たちの未来予測図」、4月20日新刊「ソーシャルジャスティス 小児精神科医、社会を診る」。3児の母。
内田千代子さん:1977年農学部農芸化学科卒後教育学部学士入学を経て、85年東京医科歯科大学医学部卒。米国やスイスでも精神医療を実践。臨床に加えて、茨城大学や福島大学(特別支援)、社会人大学院教授も経験し、今年7月「内田メンタルクリニック関内馬車道」045-225-9191を開業予定。
3人のプレゼンターからは、日本と米国のメンタルケアの現状や特徴·違いについて、また、子供のメンタルケアの重要性についても具体的な例を挙げてのお話がありました。自分のメンタルや子供のメンタルケアを受ける事等を、日本人女性は他人に迷惑をかけてはいけないと考え自分で努力しがちですが、メンタルケアを受ける事は決して恥じる事ではないので、社会や医者を含めて皆で解決していくべきだという認識を広めることが重要である事。更に日米の精神科でのメンタルケアについて、保険や医療システムの違い等を分かりやすく教えていただきました。また、コロナ禍において米国では小児のメンタルケアをいかに対応したかについても全体での質疑応答の中で詳しく説明していただきました。
グループでのセッションからは、患者さんの相談を受ける上で、友人ではなくてあくまで相談者とカウンセリングの立場としての中立的な立場を保つ事を心掛けている事、メンタルに関する相談なので、カウンセリングや治療をする側もカウンセリングを受けているのが通常である事などのさらに深堀した話題が共有されました。
今回のイベントは、幅広い年代の方に興味を持って参加していただき、医療によるケアと相談者のカウンセリングサポートの両方の視点から活発な議論を通して知見を深めました。
【参加者の感想】
「メンタル問題の背景や対処方法について、日米の違いも含め、ふだん気づかずに過ごしておりましたが、ずいぶん考えさせられました。たいへん良い機会をいただきました。」、「日本人の思考の特性、母親の生きづらさ、コロナの子供への影響、精神疾患への偏見などに気づかされました。参加された方々からの質問もよかったです。」、「ブレイクアウトルームでカジュアルに意見交換ができたことが良かったです。」など、とても好意的なご意見を多くいただきました。また、アンケート回答者9割近い方から大変満足だったという評価をいただくことができました。
イベント委員会では、今後は異なる地域の話題も取り上げる予定です。取り上げる話題·地域に関してご提案·ご要望がある方や、国外にご協力頂けるご友人がいらっしゃる方は、ぜひお知らせくださいますようお願いいたします。
イベント委員会(連絡先 event-contact@satsuki-kai.net )
以上