<前のめり文楽鑑賞> 9/14(土)「着物でお出かけ」第3回開催報告

9月14日(土)、総勢10名で新国立劇場小劇場に文楽鑑賞へ。

開演前に人形遣いの吉田玉助さんと記念撮影していただき大満足。

幕が開くと、暗闇の中、艶やかな振袖のお七が櫓を登っていく。闇の暗さと紅の着物の対比が素晴らしくおお!と感嘆。前のめり10度。

今回の文楽鑑賞の素晴らしいのは、初心者にもわかるよう「文楽の魅力」という解説付きで人形の動かし方を懇切丁寧に教えて頂けたこと。なんと女の人形には足がないのです。拳をいれて膝をつく、裾を挟んで足が動いているよう見せている。え、先ほどのお七、まごうことなく一段一段踏みしめ登っていましたケド。これは驚きの、のけぞり10度。

 今回の演目は「夏祭浪花鑑」。舅殺しの話である。殺しに至る経緯はいろいろあるので省略するとしても、最後は殺人現場からの実況中継といってよい。ただこれが妙にリアリティがあって、ちょっと怖いのである。人形だからこのように真に迫った演出になるのか、隣の劇場では同じ演目が歌舞伎でもかかっているそうだが、そちらはどうなっていたのか気になるところ。

主人公ともいえる団七が、あこぎな舅の言いたい放題、やりたい放題に堪忍袋の緒が切れて、手にかけてしまうというラスト。その心情を太夫が聞かせ、遣い手によって人形が立ち回る。この太夫も素晴らしくて、思わず(ゆか)(太夫と三味線弾きが義太夫節を演奏する、舞台の右側にある台)も見てしまう。前のめり20度。ああ、舞台なのか床なのか、どちらをみればよいのでしょう。大団円では、もう人形だけが動いている。団七は着物を脱ぎ棄てマッチョな肢体を観客に曝し、見得を切る。これが決まってる。脱いだのはファンサービスなのだろうか?大向こうから声がかかってもいい。いやいや殺人犯に共鳴してはいけない。手に汗握りしめ、更に前にのめること25度。最後は夏祭と題名にあるように、祭囃子に紛れ、韋駄天走りで団七は現場を去る。この時の三味線と鳴り物はまたまたとっても素晴らしく効果的であった。

今回の文楽鑑賞、「着物でお出かけ」企画の一環です。ただ私は慌ただしく和服で駆け付けたはいいが、背縫いが綻んでしまい(母の古い着物だったため糸が老けていたと思われる)、諸先輩のお手を煩わせて応急処置していただきました。さつき会はリスク管理も万全‼いや、ここは感謝のお辞儀45度です。ありがとうございました。